ハーブに期待することはさまざまで、その目的によって手の加え方も変わってきます。
ハーブ自体の性質や持っている成分、薬効を理解し、それらを得るための適した方法を習得していれば、どんなハーブ(薬草)も自由に操れるようになります。
操る…という表現はちょっと植物に失礼ですね。どんなハーブとも仲良くなれます。仲良くなれば、力を貸してくれるようになります。
星の数ほどある植物のひとつひとつを理解し、加工の方法学んで練習し、いつでも力を借りれるくらいに仲良くなることは、一朝一夕にできることではありません。
でもそこを目指した暮らしこそが、植物(緑)と暮らすということで、「ハーバルライフ」という一つのライフスタイルになります。
毎日、植物の存在や力を意識しながら丁寧に生活をすることが、今まで気が付かなかった気づきや小さな幸せの発見につながるでしょう。
ぜひ今からハーブとともに暮らしてみてほしいと思います。
今回はハーブの活用方法のひとつ、チンキ剤を紹介します。私はチンキ剤のことを「ハーブの魔法液」と呼んでいます。
ほんとに魔法のような液体です。
遮光瓶に入った地味な存在のものですが、我が家の必需品です。
チンキ剤とは
チンキ剤とは一言でいえば、「ハーブの有効成分をアルコール抽出したもの」になります。
アルコールに可溶な成分が抽出されるため、ハーブティーなど水(熱湯)だけの抽出では得られなかった成分も得ることができます。
抽出に使用するアルコールは、ウォッカや無水エタノールなどの無臭の蒸留アルコールを使うのが一般t的ですが、私の場合
・出来上がったチンキ剤をどのように使うのか
・どの成分を主に抽出したいのか
などの目的によってアルコールを変えています。
アルコールの使い分けを行うためには、ハーブ自体のことをしっかり知っておかなければ難しいので、どのような目的でもそれなりに使えて、簡単に入手できるホワイトリカーを初めの一歩としておすすめしています。
私もハーブを取り入れた生活をし始めたころ、もちろんチンキ剤の作成も初めてでしたので、ホワイトリカーでいろんなチンキ剤を作って使い始めました。
何年もホワイトリカーで作ったチンキ剤を生活で楽しみ、助けられ、親しんできました。
そのような年月があったから、今はアルコールを使い分ける楽しみが味わえ、出来上がるチンキ剤の違いがわかるようになったのです。
ホワイトリカーで作ったチンキ剤は内用、外用ともに可能で、35度程度のアルコールでできるチンキ剤の色、味、薬効を存分に五感で楽しんでみてください。
私自身アルコールを使い分けるようになった現在でも、ホワイトリカーを使ったチンキ剤も仕込んでいますよ。
アルコールの使い分けについては、また詳しい記事を書きたいと思います。
作成したチンキ剤は、アルコール自体に殺菌力があるため長期保存が可能です。
目安は冷暗所で1年と覚えておくといいでしょう。
ハーブを収穫して乾燥させたら、半分をティー用に保存、半分をチンキ剤にして保存・・・とすることが多いです。
チンキ剤の作り方
用意するもの(ホワイトリカー使用の場合):仕込み時・・・透明の瓶、ドライハーブ、ホワイトリカー、ラベルシール 引きあげ時・・・遮光瓶、ガーゼやコーヒーフィルターなど濾すもの、ラベルシール
① 透明の瓶の高さ1/2までドライハーブを入れて、瓶の9分目までホワイトリカーを注ぐ。しっかり蓋をして、ハーブ名と日付を書いたラベルシールを貼る。
② 成分がよく抽出するように、①を1日に最低1回はシェイクする。このとき、時間(日数)の経過とともに色や香りの変化を観察するのも楽しいです。
2週間から1か月経過したら引きあげます。
③ コーヒーフィルターやガーゼなどを使って漬けていたものを濾す。
④ 保存用の遮光瓶にいれて、ハーブ名、日付を書いたラベルシールを貼って保管する。遮光瓶はスポイト状のものが理想的ですが、なければ普通の遮光瓶でも大丈夫です。
とっても簡単ですね。
ほとんどのハーブはコーヒーフィルターで濾せますが、柚子種子やオクラなど粘液質が豊富なものはコーヒーフィルターだと濾すのにとても時間がかかるため、私はガーゼか不織布を使って、最後に絞ります。
パウダー状のものを漬けたときはガーゼだと目を通り越してしまうのでコーヒーフィルターなど目が詰まったものにしましょう。
チンキ剤の使い方
出きあがったチンキ剤はまざまな用途に使用できます。
① 飲む・・・お水やお茶、ハーブティーに数滴垂らして飲みます。出来上がったチンキ剤がとっても苦かったり味が苦手なときはこの方法を使っています。もちろん直接口に垂らして飲むこともできます。個人的にセージやローズ、ホーソンなどのチンキ剤はとても好きな味で、ナイトキャップのように5mlほどを寝る前にくいっと飲んだりします。たまお酒が好きなので、そのお酒に少し混ぜることもあります。焼酎の水割りやジントニックに混ぜたりして楽しんでます。
② ハンドメイドコスメの材料に・・・手作りローションの材料には必ずチンキ剤を使っています。レシピの【無水エタノール】のところをチンキ剤に置き換えればOK!クレイパックを溶く時にも少し入れたり、手作り石鹸、クリーム・・・レシピの中で入れることができたり、代用できるところはすべてチンキ剤を使用しています。
③ お風呂に・・・チンキ剤がどんどんたまってきたり、そろそろ1年経つけどまだあるなぁ・・・というときはお風呂に入れます。20~50mlほどまとまっていれます。このとき、チンキ剤に2~3滴精油を垂らすと、お風呂で精油による芳香浴も楽しめますし、チンキ剤が水には溶けにくい精油をうまくお風呂のお湯に分散させてくれます。
④ 掃除に・・・③同様、チンキ剤が過剰にあるときは掃除に使ったりもします。殺菌作用が期待できるハーブで作成したチンキ剤はおそうじにも有効ですよ。雑巾がけやトイレ掃除に使ったりします。
ハーブと親しくなる方法のひとつ、チンキ剤について紹介しました。
ぜひ実践してみてくださいね。